人身傷害保険は、被保険自動車(ご契約の自動車)に搭乗中の事故により死傷したときに、過失割合に関係なく被保険者1名につき、保険金額を限度として実際の損害額に対して保険金が支払われます。人身傷害補償保険という名称の保険会社もあります。補償の範囲は大きく分けると次の3つになります。
<補償の範囲>
①被保険自動車に乗車中の事故により死傷 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 搭乗者全員
②他の自動車に乗車中の事故により死傷 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 記名被保険者とその家族(注1)
③歩行中や自転車運転中の自動車事故により死傷 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 記名被保険者とその家族
(注1)ご家族の範囲
保険証券に記載の被保険者
被保険者の配偶者
被保険者またはその配偶者の同居の親族
被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子(婚姻歴のない方)
保険会社によって、①~③すべてが備わっているものをベースに、特約によって、①被保険自動車乗車中の事故のみの補償にすることができる保険会社と、①被保険自動車乗車中の事故のみの補償が基本で、特約によって②他の自動車乗車中の事故や③歩行中や自転車運転中の自動車事故による損害まで補償を拡大できる保険会社があります。
ちなみに、②の「他の自動車」には、自分が所有する別の車と家族が所有する車等は含まれません。
人身傷害保険は「実際の損害を支払う」のが基本
人身傷害保険は、過失割合に関係なく実際に生じた損害額を、契約している保険会社から保険金額を限度として受け取ることができます。その場合、相手側に対する損害賠償請求権は保険会社に移ることになります。また、既に事故の相手側からの損害賠償金や労働者災害補償制度による給付金を受け取っている場合には、その金額は差し引かれて保険金が支払われます。
たとえば、自動車事故によるケガで5,000万円の損害を被り、過失割合が「相手60:自分40」だったとしましょう。人身傷害保険に加入していなかった場合は、損害額の60%にあたる3,000万円を相手側から賠償金として受け取ることができますが、残りの40%にあたる2,000万円は自己負担となります。一方、契約保険金額5,000万円の人身傷害保険に加入していた場合は、相手との示談を待たずに5,000万円全額が人身傷害保険金として支払われ、相手に対する損害賠償請求権は保険会社に移ります。